6月19日。
今日はいよいよアストンの世界タイトルマッチだ。
トレーナーのロデルは、
やはり試合前ということで少しピリピリした雰囲気を醸し出してはいたが。
当のアストンはリラックスしていてとてもいい状態に見える。
計量後の昨夜は、
フィリピンフードでしっかりリカバリーし。
気合い入れのステーキを頬張った。
準備に抜かりはない。
リカバリーのウェイトアップも計算通りのようだった。
俺たちチーム一行とアメリカから来たメディア関係者は、
プロモーターの用意したバスに乗り込み。
会場の幕張メッセへ向かった。
よく海外遠征に行くと、
会場まで遠回りさせられ延々と移動させられ続けるという話を聞くが…。
俺たちはしっかり高速道路を使い、
見事なまでにスムーズに会場入りした笑
さすがジャパンクオリティ☆
当日計量、
ドーピング検査、
バンテージチェック、
ひと通りの行程を経て試合を待つ。
俺はチームに混ざり、
簡単な通訳なんかしたりしていた。
そんなことしていると、
プロモーターが用意した通訳の方から…、
「あっ、日本語出来るんですね?」
と言われた!
はい。
少しだけ…笑
チームアストンのドレッシングルームの雰囲気は、
日本人の俺からしたらぶっ飛んでいた。
大音量で音楽を流し、
みんなノリノリでウォームアップをしている。
ただそんな中、
アストンとトレーナーのロデルは、
フィリピン人特有のノリの良さをはあるものの、
程よい緊張感を保っていた。
そしていよいよ試合だ。
俺は今回はじめて世界タイトルマッチに関わらせてもらったが、
まさか世界戦のリングで聞くはじめての国歌がフィリピン国歌だとは思わなかった…笑
試合は、
緊張感のある素晴らしい試合だった。
前半はアストンから攻めこめてはいたが、
思いのほかダメージを与えることが出来ず…。
嫌な雰囲気が漂っていた。
中盤からは、
対戦相手の井岡選手のキャリアとクレバーさで一枚上をいかれ。
勝負どころの10Rで見事に決められてしまった。
これは、
井岡選手が本当に素晴らしかったと言うしかない。
アストンも力は出したよ。
俺はリングから降りてきたアストンに、
「いい試合だったよ。俺はお前のことを本当に誇りを思うよ。」
そう伝え、
グッとハグをした。
俺はボクシングの現場では滅多に感情を表に出さないが。
彼らと一緒にいると、
思わず感情で動いてしまう自分がいる。
試合は本当に残念だった。
でもこればっかりは仕方ない。
まずはゆっくり休んで!
グッドファイト!アストン!!