先日の引退発表からしばらくして、
ジムへ引退の挨拶をするために、長い間生活をしていた神奈川の街を訪れた。
ほとんどのプロキャリアをKG大和ジムで過ごしたのだが、プロデビューしたのは花形ジム。
最後はしっかりと花形会長にも挨拶がしたかった。
そんな思いもあり、
KG大和ジムを訪れる前に花形ジムへも寄らせてもらい、花形会長にも挨拶をさせていただいた。
花形会長には、
とてつもなく大きな恩がある。
15歳の頃、
地元福岡でプロボクサーをめざしボクシングを始めた。
17歳でプロボクサーになった。
まだ若く未熟で世間が分からない僕は、
そのまま関東に出てきてしまう…。
関東でもボクシングを続けたかった僕は、花形ジムで練習を始める。
しかし、
一度プロライセンスをとってしまっている僕が、花形ジムから試合に出るためには移籍という手続きが必要になる。
当時は今ほど移籍制度がしっかりしておらず、
他のジムに移籍するのが難しいという現実があった…。
花形会長にそのことを相談すると、
「分かった。じゃあ向こうの会長には俺が連絡しておくよ。
でも移籍金はかかるぞ。
移籍金は半分は俺が出してやるから、半分はお前が頑張って出せよ。
いいな?」
まだこのとき花形会長と出会って一ヶ月ほど。
田舎から出てきたばかりで、まだどんな人間かも分からない僕に対してそこまでしてくれるのかと…。
そのことについて、
プロボクサーとしてキャリアを全うした今、改めて直接お礼が言いたかった。
案の定花形会長は、
「そんなことあったのか?もう忘れちまったよ!!」
花形会長は偉大。
そんな恩がありながら、
当時僕を担当してくれていた現KG大和ジム会長の片渕会長が独立するということで、僕はKG大和ジムへ移籍してしまうんだから…。
花形会長には足を向けて寝ることができない!!
僕がプロボクサーとして、
キャリアをスタートすることができたのも、
そしてこれだけ長い期間プロボクサーとしてやってこれたのも花形会長のおかげ。
挨拶を済ませた後も、
花形会長はいろんな話を聞かせてくれた。
花形会長がボクシングを通して、
どんな世界を見てきたのか。そしてそこで何を感じたのか。
金言の数々だった。
改めて、
僕はボクシングを通して、本当に出会う人に恵まれたんだと。
そう感じた。
花形会長本当にありがとうございました!!
(撮影:きしもと ちかこ)